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エッセイ6「場所ということ」17

 「茅がきちんと詰まっているかどうかは、竹の奥の状況の反映です。」(山田親方)

なるほど、美しくきれいな屋根は竹を支点として、しっかり茅がしなり、力点、作用点という「てこの原理」が働き、その力学の反映によって

表面の屋根が詰まって美しく見えるのである。

「美しい屋根は、適度に詰まっている茅の屋根だ」とするならば、「美しい屋根は、しっかり茅がしなっている」ということと同義なのである。

しかも、しなっている茅は抜けにくい。

屋根も固い。

ということは耐用年数も高いのである。

逆に、柔らかく、荒い屋根は、茅がしなっていないということである。

 

 ザイラー音楽堂の4期に渡る工事は、私が1年目から5年目という丁稚の期間とほぼ重なり、親方から言われた竹の奥のイメージが、

だんだんと明瞭になっていく過程でもあった。

そして、それは見えなかった「しなり」が、まるで屋根が透けているように見えてくるようになる過程でもあった。

 

 ザイラー音楽堂における茅葺きの修復に使用された材料は、地元の方が農閑期に刈りためたススキをザイラーさんが買い取り、それを利用した。

また、テッタイさんとして、ザイラーさんの息子さんも4期のうち、3期参加し、彼を中心としてお隣のおばあちゃんから野菜をもらったり、

地元の盆祭りに参加したりして、数ヶ月共に生活した。

茅を含めた生活の一端を経験できたことは、かつて「場所」に住み込んだ屋根葺きがどのように仕事をしていたのか、垣間みれる瞬間でもあった。

屋根の上で技術を学ぶ、屋根の下でお施主さんと生活を共にする、つまり「場所」に入るという茅葺きならではの特異な出張のあり方に

触れることが出来たのは貴重な経験となっている。

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職人が綴ったコラム

かつて山城萱葺で働いていた職人が、茅葺きの難しさとおもしろさ、現場での苦悩や発見をコラムとして綴ってくれました。なかなか言葉で語られることのない茅葺きの世界。ご興味のある方は、のぞいていただければと思います。

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