会社案内

代表よりご挨拶

京都の伏見にヨシ原がある事を皆さんはご存知でしょうか。
山城萱葺株式会社の前身である山田葭材（よしざい）店は、宇治川・淀川でヨシの採取を代々行ってまいりました。ヨシは古代より私たちの生活に深く関わってきた植物です。しかし、時代の移り変わりとともに茅葺き屋根や夏の風物詩であるすだれを使用する場面は少なくなり、ヨシの需要も激減しています。「なんとかヨシとヨシ原を守りたい」少しでもヨシが商材として活用される道を切り拓こうと、自らが茅葺き職人となり、2004年に山城萱葺屋根工事を創業しました。当初は人数も少なく、小規模な工事が主でしたが、次はこれ、その次はこれと、仕事量は徐々に増え、私山田の足らずを補うように人が集まり、2014年に法人化して今の山城萱葺株式会社があります。

さて茅葺きの話になりますが、茅とは屋根を葺く草全般、日本ではススキとヨシを指します。茅場と呼ばれるススキ・ヨシの草原はたいへん公益性が高く、特に成長過程での二酸化炭素の吸収が杉林よりも多いそうです。しかし、その能力が発揮されるのは毎年刈ってこそです。刈らずに放置すると茅場は藪となり、林に戻っていきます。草原においては放置は保全ではないのです。人の手が入って初めて、草原は維持されます。人間も自然の一部であることに気づかされます。我々山城萱葺では、「先祖が残した茅葺きを途絶えさせることが申し訳ない」と考えるのではなく、「茅葺きが維持された方が、日本や世界にとってよいのだ」という思いを支えに、日々邁進して行く所存です。お読みいただきありがとうございました。

代表取締役　山田雅史