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茅葺きの新しいカタチ3

茅葺きの新しいカタチをテーマにした最終回です。

これまでヨーロッパの茅葺き事例の紹介や経営的観点から、茅葺きの将来性について考えてきました。

最終回は、茅葺きの新しいカタチの一つとして、「茅葺きを通じた人の輪」を紹介したいと思います。

先週末、私は武庫川女子大学の学生団体「古民家族」が主催する「茅葺きWeekend」という茅葺きイベントに参加してきました。
女子大学生が中心となって、兵庫県西宮市の船坂で解体寸前だった茅葺き古民家を修復されています。

写真 1     写真 2

もう何年も継続している活動ではありますが、今回縁あって活動に初参加させて頂きました。

茅葺き屋根の修復といえば、茅葺き職人が行うのが一般的ではありますが、今回のように地域住民や大学生が主体となって、茅葺き古民家を維持・修復している事例は多数あります。

私自身も学生時代に茅葺きに出会ったのですが、茅葺きには色々な立場や職業の人を繋ぐ魅力があるのではないかと感じています。
今回の茅葺きイベントでも、大学生や茅葺き職人はもちろん、社会人の方や子供等、様々な人達が茅葺きを修復するという目的で集まっていました。

そこには、茅葺きを修復するだけでなく、人と人、地域と人を結びつける役割があります。
そこから新しい価値が生み出させる可能性もあります。

また、古くから伝わる伝統の技を体感することで、非日常の体験をすることも可能です。
茅葺きは、そこに住む人だけでなく、茅葺きを見る人、修復に携わる人等、それぞれの立場の人達に、様々な魅力を伝えてくれます。

茅葺き屋根は、もともと地域住民の結(ゆい)と呼ばれる共同体の作業で維持されてきました。
村で年に数軒の屋根を持ち回りで修復をして、集落の祭りのようなイベントでもありました。
地域共同体を形成する上で、必要不可欠なものだったといえるでしょう。

しかし、現在は集落の人口減少・高齢化、現代的な建築様式の普及等が影響し、茅葺き屋根が減少していき、結もなくなった集落が多数存在します。

地域での茅葺きの維持は難しくなっているのが現状ですが、古民家族のような団体が中心となり、様々な人達を巻き込む形で茅葺き古民家を維持していくことは、現代の新しいカタチでの共同体形成に役立っているといえるでしょう。
茅葺きを通じた新しいコミュニティができており、これも茅葺きの新しいカタチだなと実感しました。

3回に渡って、茅葺きの新しいカタチをテーマに連載してきました。
様々な意見や考え方があるとは思いますが、これからの茅葺きの将来について考え、実践していきたいと思っています。

 

職人のヘルメット
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職人が綴ったコラム

かつて山城萱葺で働いていた職人が、茅葺きの難しさとおもしろさ、現場での苦悩や発見をコラムとして綴ってくれました。なかなか言葉で語られることのない茅葺きの世界。ご興味のある方は、のぞいていただければと思います。

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