エッセイ7「タマとオクタマその1」16

・「芝棟」

 「家(茅葺き屋根)の棟は竹で抑えれているか、または土を載せて草をはやさせている。(大正11年)」(今和次郎「日本の民家」p144)

 「芝棟」とよばれる棟収めの形式がある。

かつて東日本に広く分布し、棟のてっぺんに土を盛り、イチハツ、ユリ、アヤメ、ヒバ、ニラなど乾燥に強く根張りのよい植物を植え、土を固めさせる棟収めの方法である。

縄文時代、小枝を集めた柴を屋根下地にまいてから土を厚く盛った「土葺き」の方法が時代を経て、棟で残存しているという見方もある。

芝棟を頂いた屋根は、開花期になると一斉にユリやアヤメの白や紫の花が咲き乱れ、まるで「天空の花園」のように、風に穏やかに揺られ見事な景観を呈する。

 

 「小学校に入った大正の初め、日野の家並みは、きれいな水路の流れを一軒一軒広い板橋を渡って入るようになっていて、

みな草葺きで、イチハツの棟が並んでいたのである。」(亘理俊次「芝棟」p126)

 

 「昭和の初めまで中河原はほとんど草葺きだった。地主や自作の家は棟を瓦でまき、小作の家は棟に土をのせ、イチハツを植えたという。」

(宮本常一「私の日本地図10巻武蔵野・青梅」p96)