エッセイ7「タマとオクタマその1」15

竹はすべて煤けて赤黒く鈍い光を放っており、どこも虫食い、腐食のあとがなく、再利用可能であった。

ススは、いろりで火を焚いた際に、カマドで薪を焚いた際にでる煙に含まれるもので、煙とともに屋根裏一帯を覆い尽くし、ススだけが竹下地に付着して

残り堆積されていく。

ススはカビ菌が嫌う。

そのため、竹が70年以上経過しても腐食せず、防腐効果が高い。

ススを炊かなければ20年ともたず虫に食われ、竹は脆くなってしまう。

そして、虫や小動物もよせつけない天然の防虫効果もある。

可喜庵の下地には一部3センチ近くもススが堆積して、その長年の時間的蓄積と、カマドやいろりという生活と一体になって屋根が守られてきたことへ

の改めて驚きと畏怖の念を感じずにはいられなかった。

 

 ススの黒煙が舞う中での作業は、職人の手足は真っ黒、顔も真っ黒である。

体験会で参加していただいた皆の顔も一様に真っ黒で、古い茅をめくりおわった夕暮れ時には、誰が誰だか判別できないほどで、大笑いしながら

体験会が締めくくられた。